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AquaTimezの「決意の朝に」を聞きながら書いたのでちょいそれっぽいお話し載っけときます。
テツとその親友シュウのお話。
多分現在、冒険しててある町でバッタリ、みたいな。
結局シュウは楽器屋さんになっちゃいました<うわぁ思いつき



「…………テツ?」
 見慣れた赤い髪。
太陽にきらきらと輝く、目立ちすぎるその髪と。
それを引き立てる真っ黒な着物。
 まさかと思った。
テツを追いかけて来た訳ではなかったはずだった。
これは俺の修行のため、様々な楽器と出会うための一人旅。
 なのに、驚いたように振り返った瞳の色は、忘れもしない、翡翠色。
「………え………嘘…………」
 その瞳の中に再び俺が写る事を、俺は幸せに思う。
「よう、久しぶりだな、テツ。」
「…………シュウ…シュウなのか………」
 信じられないというように、瞳を開いて、俺を見つめて。
それでも俺が笑いかけてやると、表情を崩して。
一直線に俺に向かってきて飛びついた。
「シュウ!!!!!すげぇ、会いたかった!!!もう会えねぇって思ってた…!!」
「俺もだ、まさかお前に会えるとはな。」
 初めて出会ったのは中学生の頃。
その時より30cmはデカくなっただろうか。
大きな体で、筋肉のついたしかし細い腕で、俺に抱きつくお前は。
キラキラした瞳で俺を見上げる。
「………テツ、お前………」
 それは初めてお前に会った時とそう変わらない瞳。
純粋で、疑う事を知らない、翡翠色の瞳。
「シュウ、俺な、俺、お前に話したい事山ほどある!!!」
「…………そうか。」
「へへっ………」
 その笑顔はどうしようもなく暖かい。
優しい日だまりの中のような、どうしようもなく暖かい笑顔。
「お前、笑うようになったな。」
「………へ?」
「その笑顔、俺の好きだったお前だ。きっと音色も………」
「…………ん。」
 しまりのない、と言えばそうかもしれない。
危機感がない、と言えばまぁ、そうなのだろう。
それでも、心を崩され一度失ったはずのお前の笑顔が戻っていた事。
それに俺はどうしようもなく安堵していた。
「吹っ切ったか?」
「………ん~…実はまだ、全然。」
 それでもお前の顔は晴れやかで。
それは少しずつ、修復しているお前の心で。
「そうか。それでも……ゆっくりで良い。」
「…あぁ、それに……俺………また人を信じられるようになったよ。」
「…そうか。」
「背中を預けて良いと思う人達、守りたいと思う人達、優しくしてくれる人達、俺を心配してくれる人達…俺………」
「………あぁ。」
「まだツカサとはどうやって会って良いか、答えは出ないけど…それでも俺、きっと大丈夫だ。」
「そうだ、お前は大丈夫だ。」
 その笑顔で。
その音色で。
お前の暖かさはきっと、親の敵すら包み込むのだろう。
「………テツ…お前、強くなったな。」
「まだまだ………シュウ、お前は?」
 なぁ、テツ。
本当は、この旅は俺のための旅だったけど。
久しぶりに、お前に過保護な俺でいても良いだろうか?
「お前を助けに来た。」
「……………へ?」
「お前の音の手助け、しに来た。」
「………シュウ…………」
 眉を寄せて俺を見る。
お前の言いたい事は分かるよ、テツ。
自分が俺を縛り付けているのかもしれないと。
そう危惧してるんだろ?
「俺はお前の音が好きだ。お前の音を良くする術を手に入れた。だから……手助け、させてくれ。」
 音楽家らしい、汚れを知らない手を握ってやる。
テツは驚いたようにじっと俺の手を見つめた。
「………シュウ……そのキツイオイルの臭いとか、汚れた手とか…」
「あぁ、そういう事だ。お前はプレイヤー、俺は調律師。そういう事だ。」
「……………シュウ…!!」
「これは俺が決めた事だ。」
 そう、俺が決めた事。
プレイヤーとしては、限界が見えていた。
それならば、音を奏でるお前を助けたい、と。
リツやユウを助けたいと、そう思った。
 愛するその音を、守りたいと。
音を奏でるその人達を、守りたいと。
「シュウ…俺……その…………ありがと。」
「あぁ………久しぶりにお前の音が聴ければ、俺はそれで十分だ。」
「俺っ…シュウのためならいくらでも吹く、いくらでも吹ける。いくらでも奏でられるし、シュウが望めば歌だってギターだって出来る!!シュウは俺の一番の理解者だから!!俺の出来る事ならなんだって…」
「それは違うな、テツ。」
 俺はお前を理解出来ていない。
ただその音色が好きで。
……………ただ…その笑顔が好きで。
「俺はお前の一番最初のファンだ、そうだろ?」
「…………シュウ…………」
 テツの瞳が一瞬混乱に揺れる。
しかし、それをぬぐうかのように笑った。
暖かい笑顔で、笑った。
「じゃあ俺はシュウの一番最初のファンだ。」
「…………テツ?」
「また一緒に吹こう?調律師になったって、楽器は吹けるだろ?一緒に吹こうよ。俺…まだ他人と一緒に演奏するのは怖いけど…シュウとなら大丈夫だ。」
「そうだな、大丈夫だ。」
 大丈夫。
俺がテツの理解者なんじゃない。
テツが、俺の、理解者なんだ。
 お前の暖かさに触れて、俺がどれだけ慰められたのだろうか。
俺の手を握る手だとか。
俺の音を聞いている時のうれしそうな顔だとか。
一緒に演奏していて目が合った時の、くすぐったそうな顔だとか。
 たくましく柔らかいその音色だとか。
「ありがとう。」
 そんな一言で片づけるにはその言葉は軽すぎるのだけれど。
俺のすべてを受け入れたお前を。
俺が守りたいと思ったのは。
きっと自然な事なんだ。



小説ぽろぽろ載せてるのですが、だんだん長くなる罠…
しかしオリジ小説ページ作ろうにも載せてるお話があまりにも支離滅裂なので(^_^;)<分かってやってんのか
私の頭の中にあるシナリオをかいつまんで文章化しているだけなので、こんな常態なのです。
痛いお話は書きたくないもの…orz<ヲイ

シュウの視点での本当の笑顔。
暖かい笑顔を一度、テツは失っている設定です。
とはいえ、得意技は空元気なテツのそれを見破ったのはシュウくらいのもの、という設定も。
自由に吹く事を覚えたテツは、徐々に昔の暖かさと笑顔と脳天気さと危機感のなさを取り戻しているようです<マテ
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